chapter.2 家族

 

スッゲェーーーー。

私は彼女の家にやってきた。

しかし、まあ…まさか、彼女が金持ちのお嬢ちゃんだったとは。

そりゃ…お金は大丈夫だわ。

とはいえ、

……え?もしかしてこんないい家住んでいいんすか?

私ずっと野良やらせていただいてるんですけど。いいんすかね!!

処女も卒業していない私に、野良卒業していいんですかね?

いやいや、落ち着け。そうcoolに。

まだご両親の許可をいただいてない。

ここに住めるかどうかは私の面接態度次第ってわけだ。

はっはっはっはー!!!

上等だ!みるがいい。私の野良として鍛えぬかれたこの胸筋や背筋。そして

生まれ持ってあるこの美貌。

私は自慢じゃないが、野良時代にいくつもの男たちに告白されたわ。

まぁどいつも私にふさわしい男なんていなくてお断りしたけどね。

えっ?何人に告白されたかって?そりゃ…ふた…っっつ仕方ないでしょ!!

ゆうて私今1歳だし、物心ついて間もないし…人間の年齢では18でも

モテてるほうだと思いませんか?思いますよね?

はー。なにやってんだ私。

まぁいいわ。ともかく私の凄さが読者に伝わったところで、

そろそろ行くみたいね。

 

 

「はぁーなんか緊張するなー。もし飼ってくれなかったらどうしよう……。」

 

あら?

どうやらご主人緊張しているみたいね。

ほ〜ら元気だしなさい。

あなたがそんなんだと

私も緊張してくるでしょ!

私は少女のふくらはぎに顔を埋めスリスリした。

「……猫ちゃん。」

彼女は嬉しそうに頭をさげた。

「よし、行くか!!」

どうやら決心がついたらしい。

私も気合をいれ前を向く。

 

……よし、いざ--参る!!!!

 

3メートルくらいある大きな扉を開け、

私たちはお家の中に入った。

な、なんか スゲェーーー!!

私は一応家の中に入るのは初めてではない。

だから、人間の住処がどんなものかだいたい知っていた。

だけど--なにこれー!?

こんなのみたことナイヨ!!

入り口の時点ですでにおかしかったけど

内装もおかしいしてる〜〜!!

まず、玄関!!

こちら大理石でーーす。

そしてめちゃひろい!!

鰹節1000枚くらいひきつめられるわ(3畳)!!

続いて、廊下めちゃながーーい。さきが暗闇になっとるがな!!

まっくろくろすけでちゃうがな!!

しかもね、壁になにやら色々飾ってんの!!

これ私しってる。映えってやつでしょーー!!(違います)

最近では絵画を壁に貼るのが映えなのかな?

ってか壁金色なんよね!!もう意味わからん。

こんな家あったんだこの街に!!

世界は広かった。

色々驚いているところに、

誰かが暗闇の先から出てきた。

「お帰りなさいませお嬢様」

「うん。おかえりレイ。  お母さんいまいる〜?」

レイと呼ばれた女は黒白を基調としたフリフリなメイド服を着ていた。

「ええ。お母様は食堂でお茶を嗜んでいます。

   ……ところでそちらの子猫は?」

「ああ。この子さっき道で拾ったの。

   レイ。私、この子飼いたい。」

「……とりあえず、お母様に相談してみましょう。」

「うん。」

「おかあーさーん」

「あら、リリーおかえり。」

 

「お母さん…いや、お母様。私、この子を飼いたいんです。」

「世話はちゃんとできるの?」

「できます。」

「毎日面倒見れる?」

「もちろん」

「 お世話は私がします。勝手なのは十分分かっています。

   でも……   それでも、私はこの子の居場所をつくりたいんです!!!!」

「あなたの気持ちはよくわかったわリリー。

    …  いいわ。その子は今日から新しい家族ね!!」

「やったー!!——ありがとうお母さん!!!」

   ぎゅーーーと力強く抱きしめ合う親子。

    なんとも胸が温かくなる光景。

    私の心臓がトクトクないている。

「よろしくね猫ちゃん。」

「ニャーー」

「ところでこの子の名前はどうするの?」

「ふふーーん  聞いてお母さん!!

   私、いい名前思いついちゃったの!!」

「どんな名前?」

「レイさん、ルフナ茶お願い!!」

「かしこまりました。お嬢様。」

「この子の名前ルフナにする。」

「……ルフナ。うん。いい名前ね。ルフナもきっと喜ぶわ!」

「うん」

 ルフナねぇ、ルフナ……うん。

いい名前。すごい気に入った!!

 

…ところで私、今回何もしてなくね……?