鬱夢

暑い日差しが眩しい。
汗を流しながら、ぬるくなったポカリスエットを飲む。
「暑い」
最高気温を続出し続ける夏の中旬。
私は、坂の上にいた。
「お、もうすぐAがくるなー」

私のとなりで話すUくんは汗をぬぐいながら坂を走るAくんを見る。
私たちはバスケ部で今、絶賛部活中!!練習メニューのひとつで坂の上を走っているのだ。
私は、さっき走り終わり今は休憩中。
なんで、体力づくりってこんなにスパルタなんだろう?
うちの部活は私の通っているM中学校の中でキツさランキングワースト1〜2位を争うほどつらい。
私は常日ごろから顧問のNを憎み、メニューをこなしている。
そんなことを思いふけっていると、Aくんがようやくここまでたどり着いた。
「ナイスファイト!! 」
坂の上を走りきったAくんに賞賛の声がかかる。
まあこれもいわされてるんですけどね。
この前なんか先生にあいさつしなかっただけで、
気を悪くしてたし、ほんとめんどくさいことこのうえない。

周囲の目線が一気に私に向く。不思議とみんな眼光がするどい。
ん?私なんかいった?
すると──
急に目の前にいるAくんが私の首を締め出した。
く、くるしい────!!!!
Aくんの力強い両手で私の首は締められ、呼吸ができない。
な、なんで────!!!
先生──!!!
先生は私のことを鬼の形相でみている。
し、死ぬ──
い、いや死にたくない。
いつも死にたいっていってるけど死にたくない!!
くるしい、つらい、こんなの……いや!!!!
とたんに私は抗う。私の首を締めているAくんの両手を掴みはなそうとする──

──瞬間。
私は目を覚ました。
私は夢をみていたようだ。
あれが夢?
昔の知人に首を締められるってどんな夢だよ。
ああ──そうか、
私はずっと死にたいと思っていた。
だから、それが夢に出たのか。
おそらく、首を締められているとき、無呼吸になっていただろう。
もし、私があのときAくんの手を離そうとしなければ、
わたしは……死ねていたかもしれない。




──今日も死にそこねた。
私の首には、赤い手形がこびりついていた。