日常

教室の窓辺の席から俺は外を見渡す。
学校はまるで刑務所みたい。一日の半分を人で埋め尽くされた校舎に閉じ込めて……
大人になったら、大抵のことは
忘れるのに、バカみたいに授業を受けさせられて、常に他者と比べる。目立ちすぎれば嫌われ,
普通を強要される。
そんな環境下で、「いじめはなくしましょう」とかいいつつ、裏では平然といじめが起きてる。
「 こんなクソみたい場所壊れちゃえばいいのにー 」
そんなことをボソッと呟く。
授業中の今、先生が黒板の前で授業をしている。
カッ、カッ、カッ、カッ──
先生はチョークで数式を書き始めた。
後ろでは生徒が紙になにかを書くと斜め前の人に渡した。
くだらな
どうせ、しょうもないことに違いがない。
こんな代わり映えのないクソみたいな場所俺が潰してやりたい。
カシャ
俺は席を立ち、生徒ならび、教師から一斉に注目を浴びる。
「先生、今から殺します。」
まずは隣の席の地味顔の I くんからー
ポケットに仕込んだナイフで l くんの首もと目掛け思いっきり振り下ろす。
プシャーーーー
l くんの血が辺りに広がる。
返り血をシャワーのように浴び、俺の白色の服は真っ赤に着色した。
「 はっはっはっはっはっ 」
俺は人を殺した。
人生で初めて──
脳内でアドレナリンが大量に分泌して、頭の中がハイになった。
楽しい。すごい。人から出る血はこんなにも温かいんだ。
もっと欲しい。楽しいの、今すごい幸せだから。

キャ────────────────!!!!
一斉に女子の悲鳴が共鳴し、教室内は恐怖と混乱でパニック状態。

「 Uくんいったいなにを? 」

外野がうるさいが、今は気分がいい。
むしろ、今まで俺のことをいじめてきた奴らが俺を恐れている姿が愉快で
より気分を高揚させた。
代わり映えのない毎日?
なんだ簡単なことだった。こうすればよかったんだ。
すぐに逃げ遅れている生徒を殺す。
──グサッ
ああ、気持ちいい。ナイフ越しに君の苦しみと体温が伝わってくる。

──次。
走って俺は残っている生徒を追いかける。
「 イヤ、まて、僕が悪かった。
おまえにそんなことするつもりなかったんだ。
無理やりYたちにやらされて 」
ふーん。無理やりねーー。
その割には随分と楽しそうに、俺にバケツで水をかけていたけど……。
「 べつに怒ってないよ 。ただ日常に飽きてしまっただけだから 」
そう。べつに俺がいじめられていたから、こんな騒動を起こしたわけじゃない。
代わり映えのないこの日々に疲れてしまったのだ。
俺が今まで抑えてていた。
なにもかもメチャクチャにしたい狂気じみた心も
制御するのに。
「 だからこれは俺の憂さ晴らしだから 」
怯えて脚に力が入らず立ち上がることもできない彼は、チワワみたいに見える。
下半身を見ると、ズボンはびしょ濡れ姿。
あら、あら、見た目どうりトイレでおしっこもできないのかしら。
先生──!!人間の姿を擬した雑種が学校にまぎれこんでいまーーす。
そんな犬っころには
お仕置きが必要だね。
俺の両腕で彼の喉元を強く締め付ける。
がっ、ぐ、ぐう──


いいね。いいね。君最高だよーー

ああ、楽しかった。




妄想から覚めた俺は首元に手を当てる。
そこには誰かに、強く締め付けられたようなあざがあった。